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農薬通信バックナンバー
農薬通信
2001年2月号『果樹』

登録日2001/02/01

|||||アブラゼミ||||||
 果樹では根・幹・葉・果実等、樹体のあらゆるところに樹液を吸う害虫たちが寄生します。これらの害虫を俗に吸汁性害虫と言っていますが、特に発生が多いのは、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニ、スリップスで、年によって、或いは作物や場所によってカメムシが多発生するといったところでしょうか。これらの吸汁性害虫たちは、比較的効果 のある薬剤があり、防除方法も確立されています。しかし、吸汁性害虫のなかで、蝉(セミ)は生態の不明な点も多く防除が困難な害虫です。

◆◆◆ アブラゼミの生態

①
成虫は初夏から秋まで発生しますが、8月中旬が最盛期となります。成虫での寿命は7日〜10日程で、その間に交尾と産卵を行ないます。産卵は粗皮下に多く行われますが、時に袋かけした果 実や支柱に行われる場合もあります。果実への加害は、このこの時期の果 実への産卵と吸汁で、りんごでは有袋栽培の方が無袋栽培より被害が多く発生します。卵はミシン目状に産み落とされ、長さ2〜2.5mm程のやや長細い米粒状をしています。吸汁被害は、カメムシの被害に似ていますが、果 肉が表皮から紡錘形または円形にコルク化します。(カメムシは三角形)
②
産卵された卵はそのままの状態(320日前後)で冬を越し、夏になるとふ化し、地上に落下します。幼虫は土中に入りこみ、根の汁液を吸いながら成長していきます。
③ 土中で6〜7年間をかけて成長した老齢幼虫は、日没後に地上に現れ、樹幹を這い登り、樹上で羽化します。
◆◆◆ 防除方法
①
山間地等の例年被害の多い圃場では、飛来するセミの防除として防虫網の設置が効果 的です。なし棚で、カメムシ防除のために9ミリ目の防虫網を設置している地域もあります。
②
登録薬剤はありません。ケムシ類との同時防除剤としてミクロデナポン水和剤や、合成ピレスロイド剤(アディオン・アーデント・テルスター・スカウト等)が効果 あるようです。
③ 有袋栽培は、袋の紙質がザラザラしていると被害が多いため、表面 の滑らかなロウ引き紙を用いると効果的です。
④ 樹体に産卵痕を見つけたら、削り取るか、剪定時に切り落とし地中深く埋めることにより、卵の防除ができます。

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