株式会社アセラ
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農薬通信
2003年3月号『果樹』

登録日2003/03/28

|||||| パスポートフロアブルによるぶどう休眠期防除 ||||||

 パスポートはTPN(ダコニール)を主成分とした予防殺菌剤で有機硫黄剤、銅剤に似た効果を示します。
 主成分のTPN剤は農薬として30年以上の歴史をもち、園芸用作物の幅広い病害に活性があります。
 また、TPNは山梨県果樹病害虫防除暦に採用されている生育期(開花前)のべと病防除剤クリーンヒッターの一成分として使用されています。
 今回の農薬通信はこの「パスポートフロアブル」によるぶどうの休眠期防除についてお知らせします。
  休眠期防除の目的は、萌芽前(発芽前)に薬剤を散布し、第一次伝染源となる分生子(胞子)の形成量を抑えて生育初期の発病を抑制し、その後の生育期防除の効果を高めることにあります。

< 特 長 >

  • ぶどうの休眠期防除で晩腐病、黒とう病に効果が高い。
  • 分生子(胞子)の発芽阻止力が強い。
  • 分生子形成の抑制効果と分生子溢出(いつしゅつ)※の抑制効果が高い。
  • フロアブル製剤のため、乾いた後の降雨による流亡が少ない。
  • 他剤の耐性菌に有効。

    ※分生子溢出(いつしゅつ):分生子が雨水中に溢れ出ること(晩腐病、黒とう病の分生子は雨により溢れ出して飛散、感染する)

ぶどう晩腐病


< 防除のポイント >


 休眠期防除により分生子の形成量が少なくなれば、降雨による溢出量と飛散量が少なくなり、生育初期の感染が少なくなります。
 越冬菌糸が分生子を形成する前の散布が最も効果的ですので、3月以降(できるだけ発芽直前)で風が弱く、乾き易い温暖な日にていねいに散布してください。
 また、散布前に棚に残る巻きひげや果梗の切残し、罹病枝の除去・粗皮はぎの徹底を行うと防除効果が高まります。
 晩腐病は非常に防除の難しい病害で、休眠期防除だけでは充分に防除できません。
 前年発生の見られた園では、休眠期防除の徹底と合わせて生育期防除も晩腐病に登録のある薬剤(ジマンダイセン、ストロビーDF、アミスター10、ホライズンDF、クリーンヒッター等)をうまく組み合わせてご使用ください。


< パスポートフロアブルぶどう休眠期登録内容 >
一般名:TPN 53.0% (普通物、C類)                          

作物名
適用害虫名
希釈倍数
使用時期
使用回数
使用方法
ぶどう
晩腐病
250〜400倍
休眠期
1回
散布
黒とう病
250倍



< 使用上の注意 >

  1. フロアブル製剤のため、使用前に容器を良く振ってください。
  2. 石灰硫黄合剤との混用は避けてください。
    (石灰硫黄合剤と近接散布をする場合は、石灰硫黄合剤を先に散布し、充分に乾いた後にパスポートフロアブルを散布してください)
  3. 基本的には防除適期が異なるため実際の現場で混用する場面は少ないかもしれませんが、作業の都合上どうしても混用散布しなければならない場合は、下記ブドウトラカミキリ防除剤との休眠期散布時の混用事例があります。
    (ボーラーカット、トラサイドA乳剤、ガットキラー乳剤、ダーズバン乳剤、ラビキラー乳剤)

    ※実際の使用にあたっては登録内容を守り、注意事項を確認の上ご使用ください。特に初めて使用する場合は最寄の指導機関に相談してください。

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