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農薬通信バックナンバー
農薬通信
2006年7月号『果樹』

登録日2006.7.31

||||||| カメムシ類の発生  |||||||

 山梨県病害虫防除所の防除情報によると、カメムシ類の発生が多く、県下各地でモモを中心に被害が報告されています。カメムシは主にスギやヒノキの実(毬果)を餌にしています。昨年はスギやヒノキの毬果が多かったため、多くのカメムシが繁殖、越冬しました。今年はスギやヒノキの毬果が少なかったため、越冬数の多かったカメムシが餌を求めて果樹園に飛来し、幼果期の果実に被害を与えたと考えられています。

< 被 害 > 

 果樹の幼果期から成熟期を通して加害され、奇形果となります。カメムシは細いストローのような口器をもっており、果実に突き刺して吸汁します。幼果期に被害を受けると吸汁部からヤニを出すこともあり、果実の肥大にともなって加害された部分が陥没します。陥没した部分を切ってみると組織がスポンジ状に変質し、ひどい場合は果実腐敗の原因にもなります。

幼果期の被害果(モモ) 収穫期の被害果(モモ)

< 生 態 > 

 果樹を加害するカメムシ類は数種類が報告されていますが、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ツヤアオカメムシの3種による被害が多いようです。カメムシ類は成虫が山林の落ち葉の下、作業小屋の中、大木の樹皮下等で越冬します。4月頃になると越冬場所を離れ、次々と餌となる植物の新梢、花、果樹を移動していきます。通常は6〜7月頃、山林でスギやヒノキ等へ産卵しますが、圃場内に産卵する個体もあるようです。8月中旬以降には新世代成虫が果樹園に飛来し、再び果実を加害します。成虫はそのまま越冬世代となり、10月以降越冬に入ります。

  • 夜行性:カメムシ類は一般に夜行性で、日没後うす暗くなってから盛んに活動する。
  • 移動性:1日約5km移動したという報告もあり、行動範囲が広い。
  • 集団行動:集合フェロモンという誘引物質を出して仲間を集め、集中的に加害する。
  • 雑食性:スギやヒノキの毬果だけでなく、多くの農作物を吸汁加害する
                            

< 防除のポイント > 

  • 袋かけ前の防除が重要となりますが、発生の多い年は散布回数を増やし、除袋後の防除を徹底してください
  • 夜行性で仲間を集める性質があるため、日中園内でカメムシを見かけた場合は直ちに防除してください
  • カメムシは飛翔能力が高く園外から飛来して果実を加害するため、現在園内にいるカメムシを防除しても、薬剤の効力が長く持続していなければ大きな被害につながりますので、薬剤選択に注意してください。
  • 8月中旬以降、新世代成虫の被害が心配されます。モモ(晩生種)、ナシ、カキ、リンゴ等収穫を控えた作物では、発生に充分注意し、地域の発生予報を参考に適期防除を行ってください。
  • 多発すると薬剤防除のみでは不十分のため、園全体を4mm目の網で被覆すると侵入防止になります。
  • チャバネアオカメムシについては、黄色ナトリウムランプ(エコイエロー)による被害防止効果が確認されています
ブドウ園でのふ化幼虫と卵の抜け殻 チャバネアオカメムシ成虫

 


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